Inside the Studio :
Detail Choices for the SEED TO SUNSET Jacket

今回のジャケットを製作する中で、ひとつの着想源となっていたのが、フレンチワークジャケットでした。
19世紀後半から20世紀初頭にかけて、フランスでは鉄道員や工場労働者、職人たちのためのワークジャケットが作られていました。

動きやすさを考えたシルエット。
繰り返しの着用に耐える丈夫な縫製。
大きなポケットや、日常の動作に合わせた実用的なディテール。
それらは装飾ではなく、“働くため”の合理性から生まれたものです。
ただ、そうした実用着としての背景を持ちながらも、フレンチワークジャケットにはどこか軽やかさがあります。
働くための服として生まれながらも、街着のように自然と日常へ馴染んでいく。
それは当時のフランスの都市労働者文化や、ヨーロッパ特有の服作りとも関係しているのかもしれません。
今回のジャケットでも、そうしたフレンチワークジャケットの、実用性を持ちながら日常に自然と馴染む佇まいを表現したいと考えていました。

素材には、ヘンプ(麻)とコットン(綿)を混紡したヘンプコットンを使用しています。
頑丈でありながら、吸湿・速乾・抗菌性に優れたヘンプと、コットンの柔らかな肌触りを合わせ持つ素材です。
海沿いの気候は、日差しや湿気、風など、季節によって表情が大きく変わります。
暑い日でも風を通し、ラフに羽織れること。
そんな海辺での暮らしのイメージに、よく合う素材でした。

フロントの大きなポケットやダブルステッチも、フレンチワークジャケットの実用的なディテールから着想を得ています。
ポケットは、スマートフォンが自然と収まるサイズ感に調整しました。
海辺を歩く時や、少し外へ出る時にも、気負わずラフに羽織れることをイメージしています。

また、袖やポケット、襟まわりにはダブルステッチを施しています。
着込むほどに少しずつ馴染みながらも、輪郭が残るようなバランスを意識しました。

ボタンには、日本製の竹ボタンを使用しています。
竹ならではのやわらかな表情があり、洗いざらしのヘンプコットンにも自然と馴染んでいく。
使い込むほどに少しずつ色味が深まり、時間とともに表情が変化していきます。
日常の中で気軽に着続けながら、少しずつ表情が変化していくことを楽しんでもらえるよう、細かなディテールをひとつひとつ選びながら、このジャケットを製作しました。